旅行雑記

漢江沿いのアパート

知人の李さんが家でご飯を食べないかと誘ってきた。家は漢江沿いの高層アパートらしい。年配の日本人Aさんとタクシーで向かい、大体の位置で降ろしてもらう。日本の団地と似ているようで似ていない微妙な姿形で、高さもかなりある。棟数も数え切れないほどあ...
旅行雑記

ソウルのジェットコースタ-タクシ-

ふと飛行機の窓から下を眺めるとなだらかな山並みが続いていた。朝鮮半島である。やがて機体は滑走路に着陸し、タラップから外に出ると強烈な日差しが照りつけてくる。とにかく暑い。連絡バスに乗り込むと運転手が大音量で野球中継を聞いている。朝鮮語なので...
職業放浪記

ビル管理業の終焉

ビル管理業という商売がある。ビルのオーナーの依頼でビル全体の清掃電気水道関係の管理を一手に引き受ける一種の代行業である。そんな会社にいた事がある。電気主任技術者という資格を持っていたため主に電気管理担当で採用されたのである。たいていビルの屋...
職業放浪記

無能の人3

私が勤務していたビル管理会社はオフィスビルだけでなく、普通のマンションも管理していた。ただ電気工事士の私が出て行く程の物でもなく、特に用事も無いのでその存在は知る由もなかった。 ある日課長さんから「品川のビルで電気工事がある。様子を見てから...
職業放浪記

無能の人2

ビル管理会社というものは一種の便利屋であり、それこそビル内で発生するありとあらゆる雑務を全て引き受ける総合力が求められる。私が勤めていたビル管理会社も電気設備点検という主要任務はあったものの、トイレのバルブが壊れれば修理するし、ボイラーの調...
職業放浪記

無能の人1

脳神経科学の本によると有能な人間と無能な人間には1億倍以上の能力差があるという。そして悲しい事に無能な人は自分の無能さに決して気づくことはなく、逆に有能な人は自分の至らなさを嘆きながら勉強や仕事のスキルアップに励むため両者の差はますます広が...
職業放浪記

女形の掃除屋さん

都内のビル管理会社で仕事をしていた事がある。主にオフィスビルが職場で、ボイラや電気保守点検以外に床やトイレの掃除もしていた。電気工事士と言っても電気点検だけやっていれば良いような優雅な会社ではなかった。最もこの業界は初めてなので経験すること...
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香料会社の運転手

世の中に香料を専門に作る会社があることを初めて知ったのは、某ビル管理会社で電気管理の仕事をしていた時分である。入社してしばらくは中小ビルのボイラ室に居たが、慣れてくると課長さんから「今度○○香料ビルに常駐してよ。」と言われた。このビルはかな...
職業放浪記

味方に撃たれた兵隊さん

ボイラー2級免許を取得してからしばしば新聞の求人欄を見るようになった。2センチ四方程度のまことに小さい求人欄で、電気工事士なら「電工」と書かれ、「委細面談、電話○○」等まるで電報の電文のようにそぎ落とした文章が並んでいる。ちなみにボイラーマ...
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課長さんの数学

造船会社でサラリーマンをしていた時期があった。もっとも当時は造船不況で造る船がなく、仕方なしに橋梁や高圧鉄塔の設計、海底トンネルを掘るモグラの先端切歯の設計等していた。学生時代によく数学の先生から「今はこんな方程式とか勉強しているが、将来仕...