行政書士事件簿

東京国税局家宅捜査事件3

東京国税局査察部の捜査員2名を乗せたボロ車で私は会社に向かった。着くとそこにも捜査員が3名ほどおり、何やら捜索している。そのため事務所内は書類の山で無茶苦茶になっていた。朝一で事務所に来ていた弟が困った顔で「なんだかわからないけど免許証とか...
行政書士事件簿

東京国税局家宅捜査事件2

朝のまどろみの中で激しいノック音が聞こえる。夢うつつで考えるがどうも玄関扉をたたいている音のようだ。こんな朝早くに来客なのか。おぼろげな思考の中で応対すべきか逡巡する。眠いが仕方なく一気に飛び起き、素早く着替えてから玄関に出てみた。そこには...
行政書士事件簿

東京国税局家宅捜査事件1

能ある鷹は爪を隠すというが、黒幕となるような人物は強い影響力がありながらあまり前面に顔を出したがらない。常に誰かを裏で操作しながら仕事を実行し、そして多くの収入を得る。引き際も上手く、トカゲのように尻尾を残すことすらほとんどない。まるで闇バ...
行政書士事件簿

医学研究室

地下鉄の本郷3丁目駅を降りると、春日通りをしばらく東に歩き、すぐに左に折れた。遠くに何やら戦前とおぼしきタイル張りの黒々とした建物が見えてくれば、そこはもう大学病院である。もっとも私は何か健康に問題があるわけではなく、診察でも検査でもなく、...
行政書士事件簿

無縁墓改葬事件

知人の石屋から墓地を1つ潰してくれないかと依頼があった。私は半信半疑で「墓地とはあの人が葬られている墓地のことですか。」聞くがどうも本当にそうみたいである。何でも駅から徒歩数分の好立地にあり、周りがすべてマンションに取り囲まれているとか。墓...
行政書士事件簿

精神医学系学会

バス停のベンチで乗車待ちの時間をただ茫然と空を眺めて過ごしていた。私はスマホが苦手なのである。そこで不意に隣の男に声を掛けられた。見知らぬ人に声を掛けられることは良くある事だが、なぜそうなるのか未だに不明である。男は「私は近くの○○病院に通...
旅行雑記

変な秘湯探訪

栃木の山奥に人知れず存在する秘湯があるという。なんとなく興味を抱き、行くことにした。そんな場所であるからもちろんネット予約もなく、電話をしてみた。遠い感覚のベル音がしばらく鳴り、カチャリと音がするとまるでトンネルの奥から聞こえて来るような不...
高校生日記

白い軍服

高校を卒業して1年も経つとすっかり自分は大人だと思い込み、タバコを吸ったり酒を飲んだりする輩がいる。実のところ年齢的にはまだ19才だから少年なのである。それでもこの年齢の少年達は高校も卒業したし、就職して自分は社会人として十分自活していると...
高校生日記

卒業式の後の野鳥観察小屋

高校時代自然科学クラブに属していたせいか野鳥に興味があった。ちょうど上手い具合に校舎の裏に野鳥観察小屋があり、時々顔を見せていた。行く度に様々な野鳥が観察され、双眼鏡を通じて見える鳥の生態に胸をときめかせていた。最もそんな高校生はまれらしく...
高校生日記

通学路の野犬たち

駅から離れた高校なら普通バス便くらいはあるものだ。しかし私が合格した高校は新設校ゆえにバス便がまだなかった。しかたなく私は一番近い駅からおよそ3キロの道のりを毎日歩く羽目になった。そこは埋め立て地にアスファルトの道路を敷いただけの貧相な場所...