職業放浪記

プラスチック工場の2階

壁紙や床材を作る塩ビ工場で働いていたことがある。当時は現場ではなく経理部だったのでどちらかというと工員を管理する立場だった。当時は若いゆえに何となく現場の職工たちを下に見るような気配を纏っており、自分でも嫌な奴だと薄々感じていた。 当時はN...
旅行雑記

東尋坊と自殺

福井県に東尋坊(トウジンボウ)という海にそそり立つ断崖絶壁がある。自殺の名所としても全国に良く(悪い意味で)名が知られた場所である。ある日、急にそこに行きたくなった。なぜなのか理由はわからない。これは後で判明する。 すぐに北陸新幹線の切符を...
旅行雑記

沖縄の身延山

乗り鉄仲間のAから旅の誘いがあった。旅のプランはこうだ。まず中央線で甲府まで行き、そこから身延線で南に下る。富士駅からは東海道線に乗り換え、東京駅に戻るという逆コの字型の一筆書きプランであった。面白そうなのでこの計画に乗ることにした。(鉄道...
行政書士事件簿

医学研究室2

JR市ヶ谷駅を降りると靖国通りを少し歩き、大きなビルの前に出る。なかなか警備が厳重そうなビルのようで、ガードマンが入る人を全て厳重にチェックしている。どうも、身分証が無いと入館できないようだ。私はドキドキしながらガードマンに医学部教授名を告...
行政書士事件簿

キューポラのある町

私の会社にかつて頻繁に出入りしていたヤクザ風流れ者系不動産ブローカーのAさんから「こんど会社を設立したい。手伝ってくれ。」との依頼が入る。何の会社なのか、何に使うのか尋ねるが全く答えてくれない。何かの物件の受け皿に使用するようだ。もしかして...
行政書士事件簿

東京国税局家宅捜査事件3

東京国税局査察部の捜査員2名を乗せたボロ車で私は会社に向かった。着くとそこにも捜査員が3名ほどおり、何やら捜索している。そのため事務所内は書類の山で無茶苦茶になっていた。朝一で事務所に来ていた弟が困った顔で「なんだかわからないけど免許証とか...
行政書士事件簿

東京国税局家宅捜査事件2

朝のまどろみの中で激しいノック音が聞こえる。夢うつつで考えるがどうも玄関扉をたたいている音のようだ。こんな朝早くに来客なのか。おぼろげな思考の中で応対すべきか逡巡する。眠いが仕方なく一気に飛び起き、素早く着替えてから玄関に出てみた。そこには...
行政書士事件簿

東京国税局家宅捜査事件1

能ある鷹は爪を隠すというが、黒幕となるような人物は強い影響力がありながらあまり前面に顔を出したがらない。常に誰かを裏で操作しながら仕事を実行し、そして多くの収入を得る。引き際も上手く、トカゲのように尻尾を残すことすらほとんどない。まるで闇バ...
行政書士事件簿

医学研究室

地下鉄の本郷3丁目駅を降りると、春日通りをしばらく東に歩き、すぐに左に折れた。遠くに何やら戦前とおぼしきタイル張りの黒々とした建物が見えてくれば、そこはもう大学病院である。もっとも私は何か健康に問題があるわけではなく、診察でも検査でもなく、...
行政書士事件簿

無縁墓改葬事件

知人の石屋から墓地を1つ潰してくれないかと依頼があった。私は半信半疑で「墓地とはあの人が葬られている墓地のことですか。」聞くがどうも本当にそうみたいである。何でも駅から徒歩数分の好立地にあり、周りがすべてマンションに取り囲まれているとか。墓...